『星を継ぐもの』を読んで

最近、積みゲーは勿論のことですが、積み本も溜まってきています。何しろ時間が無い。とりあえず片っ端から読んでいこうと思って、半年以上前にセールで買ったまま放置していたジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』を読みました。

星を継ぐもの (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社
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【星雲賞受賞作】
月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。

『星を継ぐもの』は1977年に発売されたSF作品です。私は残念ながらSFモノにはまるで疎く、SFといえばスターウォーズのような「なんかよくわからん超技術でドンパチやる」ようなものが主だと思っていたのですが、この作品は「ハードSF」に分類されるとかされないとかのようで、どうもこの作品はその筋の代表作品のようです。先述のドンパチ作品は細かく言えば「スペースオペラ」だとかそうでないとか。

この作品は「人間が5万年前に月に行っていた」というヒトラーもびっくりな設定から話がスタートするもので、作中の登場人物がこれは宇宙人だ、いやこれは古代文明人だ、と言ったように次々と仮説を打ち立てていき、その仮説を検証するために進化論や宇宙科学等々学問を片っ端から引っ張り出してきて検証したり、遺留品の解析を進めていき、そこから導き出されたデータを基に再度仮説を立てていく、言わば宇宙を舞台にした科学ミステリーのような話の展開が主になっています。得られた情報を基に組み立てられていく仮説にはいずれも説明できない大きな矛盾が立ちはだかり、謎が解明されるとさらに謎が増え、登場人物が首を540°傾げる様が描かれています。

作中ではその内容からひたすらに科学的な小難しい理論が登場人物の間で長々と議論されていくことになりますが、大体の場合は論証の最後に要旨を述べてくれるので意外に読みやすく作られています。結論から論理を組み立てようとする者、現代科学を絶対とした論理を展開する者、矛盾点はでっち上げと断じる者。追究の果てにはどのような結論が待っているのか。ミステリー好きの方に是非とも読んで頂きたい一作です。なお、この作品はシリーズ化されていて、『ガニメデの優しい巨人』、『巨人たちの星』、『内なる宇宙』と続きます。シリーズ最後の作品は未訳っぽいのが残念です。現在は『巨人たちの星』を読み始めたところですが、『ガニメデの優しい巨人』も『星を継ぐもの』で未解決だった事象を究明しつつ矛盾を取り除いていく筋の通った素晴らしい作品でした。

この作品の驚くべき所は、1977年に書かれた作品であるにも関わらず、文体がちょっぴり古めかしいことを除いてさほど時代を感じない所でしょうか。直前に読んだ1968年の『2001年宇宙の旅』で嬉々と登場するガジェット群は、執筆年が『星を継ぐもの』の10年前とは言えいかにもレトロフューチャーな感じの代物でした。この作品ではそのような類の代物の登場が比較的抑えられて、科学的な根拠をひたすら主題にしていたからでしょうか。いずれにしろ、アーサー・C・クラークもジェイムズ・P・ホーガンもソヴィエトが崩壊することは予想できませんでした。すげえなレーガン。

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)
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